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校長のことば
校長 小島 克也
  

  平成30年4月1日に第30代校長として着任いたしました。

 定時制では、中学校時代に大きな挫折を経験し、自信を持てないまま入学して来る生徒が少なからずいます。でも、高校に入ったらこれまでと違う自分になりたい、成長したいという思いは、全日制の生徒以上に強く持っています。

 浦高定時制は、そんな若者一人一人を大切にして教育を行っています。彼らに自信とプライドを持たせたい。その一心で生徒に相対しています。

 「浦定チャレンジ」という言葉があります。生徒には、どんな小さなことでもいいから、何かにチャレンジしようと言っています。昨年度は、ボランティア活動の全国発表会に唯一の定時制生徒として参加したチャレンジャーもいました。

 「社会的に自立する力の育成」これが最終目標です。そのため、基礎学力の定着を第一に考え、日々の授業の充実に教職員一丸となって取り組んでいます。それを土台に、協調学習をはじめとして、生徒に考えさせ、表現させる授業が随所に展開されています。きちんとしたあいさつ・マナーの定着にも力を入れています。また、「NPOカタリバ」「若者サポートステーション」等の外部機関との連携による公共心の向上やキャリア教育の充実も図っています。

 新たな定時制教育に挑戦し続けている浦高定時制へのご支援ご協力をよろしくお願いいたします。


 
校長講話(定)
校長講話(定)
2018/04/09

校長講話(定) 入学式式辞

| by:管理者

新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 また、保護者の皆様におかれましても、お子様のご入学おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。

  本校の定時制課程は旧制の敬和中学校として昭和16年に発足したという長い歴史と伝統を持っています。これまで、2000人を超える卒業生を世に送り出しています。77年間の長い間には、幾多の困難な社会状況があったにも関わらず、その時代時代の生徒たちはこの浦高で学び、着実に実力を身につけ、社会へあるいは上級学校へと巣立ってまいりました。

  今、時代は大変難しい局面に入っています。かつて経験したことのない少子高齢化に直面しています。特に働き手の人口がますます減少し、日本の経済発展を今以上に望むことは難しくなっています。また、グローバル化が進展し、多くの日本企業は、コストの安い海外に拠点を移しています。その結果、日本国内に雇用の空洞化が起き、多くの失業者を生み出す原因の一つになっています。そして、それに輪をかけるように、人口知能の発達があります。進化した人工知能の出現は、より暮らしやすい社会を作ってくれる半面、人工知能は、「人間の職業を奪うのではないか」「今学校で教えていることは時代が変化したら通用しなくなるのではないか」といった声とともに、子供たちの将来を不安にさせています。

 このような変化が激しく、未来の予測が難しい時代にあって、いやむしろ、このような難しい時代であるからこそ、我々はつねに、希望を持って、前向きに生きていかなければなりません。

 我々には、皆さんが、卒業後、この時代の荒波を乗り越え、社会を生き抜いていくことができる力、別な言い方をすれば、自立するために必要なものを身につけさせる責任があります。

 自立するために必要なものとは何か。たくさんあると思いますが、ここでは、私が最も必要と思う2点をお話しします。

 

 まずは「基礎学力を身につける」ということです。いかなる職業に就くにしても仕事をする上でそのベースとなるものが、基礎学力です。その中心は、各教科の基本的な知識技能です。これを身に付けるのがまず一番ですが、でもこれだけでは不十分です。単なる暗記や決められたことの繰り返しだけでは、コンピュータにかないません。教科の基本的な知識技能に加えて、そこから、ほかの人たちと力を合わせ新しいものを創造していく思考力応用力が必要となります。浦高の授業は、この思考力応用力の育成に力を入れています。そのため、授業の様々な場面で、対話や協働的な活動を取り入れています。とても活気のある授業です。楽しみにしていてください。

 自立するために必要なもう一つの大切なものがあります。それは「徳を高める」ということです。この事について、日本を代表する電機メーカーの「パナソニック」を一代で築いた松下幸之助は、八十五歳の時に次のような主旨の言葉を残したそうです。

「徳を高めることは、私にとって今一番必要なことである。私の今の立場で望むものは、技術でもなければ商売の手法でもなく徳の高い人間になることである。徳というものは漠然としているけれど、人間にとってこれが何よりも一番の宝である。技術も大事であるし、学問も大事であるが、徳を持たずしては学問も技術も成り立たない。」

社員から絶大な信頼を受け、数々のヒット商品を生み出し、日本中の顧客に支持された松下幸之助でさえ、晩年に至ってもなお、自らの徳性に満足をしていなかったのです。

 皆さんにも同じことが言えます。自立すると言っても、人は一人では生きていけません。人と人が信頼し合い、尊敬しあい、協力し合ってこそいい人生が送れるのです。みんなが「あの人となら一緒に仕事をしたい」そして職場で部下を持つようになれば、「あの人の言うことならついていきたい」と言われる人間になることが大切です。そのためには、自分の内面を磨く必要があります。私はそれを「徳を高める」と表現しました。

 皆さんには、自立した人間になるために、是非「基礎学力を身につける」と「徳を高める」の二つを心がけて欲しいと思います。

 

それでは、この二つについて、具体的に何をしたらいいかについてお話しします。

 まず、「基礎学力を身につける」ことについてですが、これは何と言っても、毎日の授業を大切にしましょうということです。ただ、全日制の生徒のように、自分のやりたいことだけに集中できるというのとはわけが違います。皆さんの多くは、昼働き夜に勉強するという大変ハードな生活をしていかれることと思います。本当に頭が下がります。疲れて眠い時もあるでしょう。学校に来ることすら辛い時もあるかもしれません。でも、そんな時であっても、昨日よりも少しでも成長しようという強い意志で頑張り抜いてください。頑張っても成果が見えないことももちろんあります。でも、あきらめたらそれでおしまいです。あきらめずにコツコツと積み上げれば目に見えなくても少しずつ体の中に力がたまっていきます。ぜひ、毎日授業に出続けることを行動目標にしてください。

次に、「徳を高める」についてですが、これはそれほど難しいことではありません。ちょっとした心がけでいいのです。自分から挨拶をする。校舎の床に落ちているごみを拾う。電車、バスでお年寄りや体の不自由な人に席を譲る。落し物を届ける。そんな、小さな親切を積み重ねるのです。大切なのは、人が見ていようがいまいが、他人が心地よく過ごせるように行動することです。このような行動を積み重ねることで、皆さんの徳性は確かに磨かれたものになっていくと確信します。

 さあ、皆さんは、今日、自立する人間になるための第一歩を踏み出しました。明日から、その目標に向かって高校生活を歩み始めます。私たちは、その歩みに寄り添い、時にコーチとなり、時に応援団となり、皆さんを支えてまいります。ともに頑張っていきましょう。

  最後に保護者の皆様方におかれましては、重ねてお子様のご入学おめでとうございます。ここまでお育てになるにあたっては、いろいろなご苦労があったと存じます。本日確かに大切なお子様をお預かりしました。

私ども教職員一同、お子様の成長を願い、自立した人間となって社会に巣立っていけますよう、責任を持って指導してまいります。お子様一人一人の健やかな成長と、夢の実現に向けて、家庭と学校が信頼関係を築き、同じ歩調で取り組んでいきたいと思いますので、どうぞご支援ご協力をお願いいたします。

 新入生の皆さんにとって、人生におけるこの貴重な4年間が、実り多いものとなることをお祈り申し上げます。御入学おめでとうございます。

 平成三十年四月九日

   埼玉県立浦和高等学校長 小島 克也
22:31