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大谷君

ケンブリッジ大学合格の快挙!
~浦高生、ニュートンの後輩に~

大谷君は、2008年1月、見事に
ケンブリッジ大学ピーターハウス・カレッジ・ナチュラルサイエンスコースに合格しました。
彼はホイットギフト校で2年間、IB(インターナショナル・バカロレア)コースで勉強し、
外国人留学生ながら、学年トップの成績を収めていました。
そしてホイットギフト校での課程が修了した後も大学進学の準備を続け、今回の快挙となりました。

ピーターハウス・カレッジは1284年創立のケンブリッジ最古のカレッジであり、
1学年の募集定員が全体でわずか80名程度のケンブリッジ最小のカレッジでもあります。
その規模の小ささから、教授と学生の距離が非常に近いカレッジとしても知られています。

大谷君 ホイットギフト校長期派遣へ向けての抱負

 私がこのプログラムに応募した理由のひとつに、異国の学生たちに囲まれて生活してみたいと強く思ったということがあります。

 幸いにも、過去にも浦高でホイットギフト校短期派遣とミシガン大学サマープログラムへの派遣と2度海外で勉強してくる機会が与えられ、そこでたくさんのすばらしい学生たちと出会うことができました。アメリカや韓国、イギリスといったさまざまな国の学生たちと自国の文化、世界の出来事などについて話をし、自分の知らない世界、考え方の多いことに改めて驚かされました。このプログラムを通して多民族社会という新鮮な環境に身をおくことで、将来、世界の舞台で仕事をするようなとき、文化の異なる相手を理解し、評価できるような柔軟な姿勢、考え方を得たいと思っています。 



 ホイットギフト校ではインターナショナル・バカロレアコースを選択し、数学、化学、生物、経済学、英語、日本語を勉強することになっています。インターナショナル・バカロレアとはスイス・ジュネーブに本部を置くインターナショナル・バカロレア機構が提供する国際的に極めて評価の高い教育プログラムです。その資格を取得することで、英国国内の大学のみならず、世界中の有名大学に入学することが可能となります。このチャンスを最大限に生かしたいと思います。
 単に英語の勉強という小さな目標にとらわれるのではなく、異国の学生たちの間で勉強するという、留学からしか得られないような貴重な経験を得て、この与えられたチャンスを自分にとって有意義なものとしていきたいです。

長期留学総括レポート2005~2007はこちら (大谷君報告書.pdf 
 
2008年05月31日付「デイリーヨミウリ」に掲載されました(大谷君記事.pdf

 

日誌

大谷君マンスリーレポート
123
2007/06/02

№12 2007/4~6

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 イギリスのパブリックスクールが400年以上にわたって優秀な人材をあらゆる分野に輩出してきた点において、時代を超えて学生たちを惹きつけることができるシステムが不可欠であったことは想像に難くない。ひとつ挙げられるのは、どの国、時代でも共通であるように、大学への進学実績であろう。イギリスにおいては800年にわたってオックスフォードそしてケンブリッジ大学が常に学生たちの目標となってきたのは明らかであろう。これは現在でも同じことで、ちょうど日本で東大、京大合格者の人数が時として問題とされるように、イギリスでは俗に言う、オックスブリッジ(オックスフォードとケンブリッジ)の合格者人数で高校の実績が判断されることがあるようである。



 しかし大学への進学実績だけが、学生を呼び寄せる主要な要素であったと断定するのは軽率であるように思う。もちろんパブリックスクールの一つの目的は学生たちの学問的な教育であり、その成果を進学先の大学から読み取ることは不可能ではないように思う。しかし10歳から18歳と幅広い年齢層の学生を受け入れるパブリックスクールにおいて、教養、規律そして肉体的、精神的な教育を行うことがきわめて重要であり、俗に言う紳士の育成が学問の実績と併行して、重要なパブリックスクールの魅力となっていることが伺えるだろう。



 このホイットギフト校においても長い歴史の中で形作られた、学生たちの人間的な質、そして学問、生活に対する士気や態度といったものを助長するための制度を見つけることはたやすいように思う。第一に挙げられるのはパブリックスクールにおいて一般的な、監督生(Prefect)を選考するシステムであろう。ハリー・ポッター シリーズの発行によってよく知られるようになったこの制度だが、ホイットギフトでも最上学年120人の中から30名ほどが教員の投票によって選ばれ、各種行事の補佐や下級生の指導に当たる。一つに彼らは学校の代表であると同時に、日々の生活においてその行動は下級生たちへの見本となる。下級生の服装や行儀といったものを監督し、また罰則を与える権限をも持つ。こういった彼らの責任が学校の品格の向上に役立っているといえるであろう。



 しかし、監督生制度による利益は彼らの行動だけからくるものではない。特に教員たちから選出されるという点において、最上学年で監督生に選出されるということは学生たちにとってこの上ない名誉な事なのである。ハリー・ポッターにおいてもこの選出をめぐった葛藤が描かれていたように思う。もちろん教員たちは生徒の過去数年の行動や、学問そして課外活動の実績に基づいて学生を推薦するのであろう。この観点から言っても、下級学年に属する学生たちの品行を促すことに成功しているということは無視できない事実であるように思う。


 ホイットギフトの特別なネクタイ
 もう一つホイットギフトにおいて学生たちの羨望の的になっているのは、各種活動に貢献した学生に送られる特別なネクタイ(写真;左から6th form tie, Music tieand Prefect tie)である。通常の学生は、学年ごとまた属するハウスごとに異なったネクタイを送られ、最上学年になるとそれようのものが別に与えられる。しかし、生徒が各種分野によく貢献した場合、その分野を担当する教官から新しいネクタイを贈呈されることがある。もちろん監督生専用のネクタイがひとつにあるが、他にもラグビー、サッカー、ホッケー、音楽、CCF(イギリスの教育課程にある軍隊演習のようなもの)などで優秀な貢献をしたものにもそれぞれ異なったものが送られる。たくさんのネクタイを集めることが生徒の間でも自慢の種であり、各種行事、活動に向けた生徒の意欲を高める点において、とても有効かつ利口な手段であるように思う。



 しかし、こういった学校全体の気品を高める制度がホイットギフトの歴史の中で古くから常に存在してきたかというと、それは疑問の残るところである。私がホイットギフトに滞在していた過去18ヶ月の間にもたくさんのことが変ったように思う。例を挙げると、各種ハウスごとにハウス上級生を選出する制度が整えられ、彼ら専用のネクタイも新しく作られた。このネクタイの反響は想像以上によく、デザインが学生たちの間で人気になっている。それまでのホイットギフトのハウス制度の問題があったとすれば、ハウスがただ浦高で言うスポーツ大会、文化大会だけに向けたグループであり、ハリー・ポッターのそれのように生活単位の集団ではない点において、どこかまとまりにかけてしまうところがあったかもしれない。しかしこの新しい制度とネクタイの成果によって、生徒のハウス行事に向けた熱意が高められるのは明らかであるように感じる。



 このようにホイットギフトにはたくさんの伝統的で独特な学校制度が存在する。しかしこれらはむしろ移り変わるものであり、決してイギリスに対するステレオタイプのように、化石のようなものではない。時代を超えてあらゆる学生をひきつけるこの伝統の魅力と、学問でだけでなくあらゆる分野における人間性を高めていこうとする斬新性の共存こそが400年以上の歴史を支えてきた原動力ではないだろうか。

12:59
2007/01/02

No.11 2007/1・2

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1)ハーフターム休暇について

 イギリスの学校に共通している、ハーフターム休暇という1週間ほどの休暇を利用して、ホワイトハウスの学生たちと寮長のエリオット先生、そしてその家族 と共に、北部イングランドに旅行に行く機会を得ることができました。Alnwick(アニックと読む)という小さな町の郊外にある休暇客専用に貸し出され ているコテージを二つ借りて、一週間ほどのんびりと過ごしてきました。コテージはちょうどイギリスの田園地帯に当たるような場所に設けられていて、水泳や テニス、ビリヤードやジムなどの施設も備え付けてあり、利用客が十二分に楽しめ、そして疲れを癒せるような配慮の元に作られていたように思います。

 私自身も、朝は鐘の音で目を覚まし、朝食前に朝霧の中を散歩するというような健康的な生活をイギリスに来てから初めて(もしかすると生まれて初めて、) 送ることができ、学校生活のストレスを十分発散することができました。

 また、アニックという町からは容易にさまざまな地域を訪れることができ、バイキングに対抗するために作られた海岸沿いに点在する城、エディンバラや ニューカッスルといった大都市、またダ-ラムのような中規模の学園都市、そしてローマ皇帝によって作られた防壁などさまざまな場所を短い期間のうちに訪れ ることができました。とくにイギリスを東西に横断するHadrian Wallと呼ばれる防壁、そしてそれに付随する城跡は、数千年にわたる風雪にも耐え、なお凄然とその姿を残している点で、胸に訴えるものがありました。こ の滞在を通して、イギリス的なのんびりとした休暇を体験することができました。

 2)Extended Essayについて

 International Baccalaureate DiplomaのカリキュラムのなかでExtended Essayを提出することが義務付けられています。これは普段の教科書の範囲を超えて、生徒が自分の興味の分野についてリサーチをし、一種の高校レベルの 卒業論文のようにまとめるもので、英語にして4000語程度(それほど長いというわけではありませんが)を自己の実験や調査、論理にもとづいて書き上げま す。

 私は化学の分野において、授業中にもった疑問を元に、halogenoalkanesの求陽子置換反応の反応メカニズム(SN1と SN2)の変化と温度との関係について調べることにしました。
 教科書にも載っていないことだったので、試薬(nucleophiles)や媒体選びから、硝化銀を加えることによって、反応後にハロゲン銀を沈殿さ せ、それによる光の伝達度の変化を使って反応速度を調べることなどといった手順まで自己の目的に合わせて実験を組織しました。

 ほぼ毎日のように放課後に実験室に通って実験をし、トータルでおよそ20時間ほど実験をしたように思います。もちろん自分の予想しないような事態が起こ ることのほうがかえって多く、その場面、場面で状況を打開するための新しい実験、試薬を考えるといった態度を身につけることが出来たように思います。また 化学のさまざまな実験器具や試薬といったようなものの扱いに関してもっと自身を持てるようになったとも感じます。

 結果として、温度上昇によってメカニズムがSN1からSN2に変化するという自分の仮定をある条件下において実証することが出来ました。

 はじめて、自分の未知の分野に関して自分で研究課題を決め、それに基づいて実験を作り、そして何らかの新しい知識を得ることが出来たという点で、このプ ロジェクトはとても意義深く、また充実した達成感を得ることができました。
 またIBの一つの大きな主題のようである授業から得た知識の日常、実際への変換という観点から言っても、生徒一人一人の知識やそれへの探究心を深めるだ けでなく、実際に未知のものを調べる手段を教育することに成功しているのかもしれません。
12:59
2006/10/02

No.10

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1)Theory of knowledgeの授業について
 このTheory of Knowledge(ToK)の授業は、インターナショナルバカロレアのカリキュラムにおいて週1.5時間の必修になっています。このインターナショナルバカロレアでは2年間のコースの最後に大きな試験があり、その結果が45点満点の総合点としてあらわされます。この総合点の中でToKが占めているのは1.5点だけであることから、この科目の重要性は低いといわれるかもしれません。しかし実際には、このToKの授業なしではインターナショナルバカロレアのカリキュラムは考えられないといっても過言ではないほど、ToKの授業が大きな役割を果たしているように思います。
 では実際にToKの授業でどのようなことを学ぶのかというと、究極的には、どのように知識を得るのか、またその知識とはいったいどういったものなのかについてといえるのではないかと思います。他の授業と関連付ける意味で、知識を自然科学、人文科学、史学、芸術、数学そして倫理の6つの分野に分類し、また知識を得る方法として、感情、論理、言語、知覚の4つを挙げ、その一つ一つに関して学んでいくというのが大まかな授業の流れになっているようです。もちろん教師による講義によって授業が進められるというよりは、クラスワークのようなものを通して生徒に議論させるというようなものです。
 例を挙げると、自然科学に関する授業の中で実際に何らかの大まかな実験を繰り返すことで、その演繹的方法論について学ぶといったようなものです。また、’It is never right to be ruled by your emotions.’といった引用文について考察などしながら、感情と論理という一見相反する方法がどのようにさまざまな知識の領域のなかで働いているのかについて考えるという様なこともこの授業をあらわす一例です。
 コースの中で一つの大きなエッセーを書くことが課題となっていて、「機械は知ることが出来るのか?」といったようなユニークな設問に対して、それぞれの視点からなんらかの意見を作っていくことこそが、普段見過ごしている分野へ目を向けさせるようになっているのでしょう。こういった普段の一般の授業では触れられないが、その背景である領域を学ぶことが、化学の実験の誤差に関する考察や、数学の帰納的証明などに自然とつながっていくのかもしれません。

2)ハーフターム中のフランス旅行
 イギリスの学校には学期間の休暇に加えて、学期のちょうど中間に1,2週間程度のハーフタームと呼ばれる短い休暇があります。この10月にその休暇を利用して、寮の仲間とフランスへ旅行する機会がありました。月並みながら、まず驚かされたのはロンドン、パリ間が電車でただ3時間ほどしかかからなかったことです。去年エディンバラへ旅行したときよりも短い時間で着いたので、フランスとイギリスの近さを感じずにはいられませんでした。パリの印象として、ロンドンよりもさらに整然とした町並みだと感じました。特に夜にライトアップされたセーヌ川とエッフェル塔の情景はいまだに鮮明に思い描くことが出来ます。またルーブル美術館の規模と作品の充実には目を見張るものがあり、一日そこで過ごしてまったく飽きることがありませんでした。規模の面からいって、イギリスの大英博物館とナショナルギャラリーの総面積に匹敵するのではないかと思いました。短い滞在ながら、パリという町の魅力を存分に味わうことが出来ました。ヨーロッパに滞在する利点として、いくつもの大都市へ簡単に移動できるということが挙げられるということを実感しました。
     
12:58
2006/09/02

No.9

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1) ホワイトハウスでの二年目
  2ヶ月にわたる長い夏休みが終わり、この9月からホイットギフトでの私にとって新しく、また最後の年が始まりました。去年に引き続き、私とチェコからの学生が二年目の奨学金でホワイトハウスと呼ばれる海外学生向けの寮にとどまり、そしてハンガリーから2人、ポーランドからひとりの学生が新しく加わりました。彼らの会話を聞くと、去年のこの時期の私を思い出させられます。また、彼らの一つ一つの言葉、行動から、あらためて私は文化的な違い、背景にある環境の違いを感じると同時に、去年からの経験からいかに彼らを国、ひいては東ヨーロッパという一つの枠でまとめることが難しいかということを痛感させられます。国、文化というものが個々人の個性、もしくは特徴という点において大きな意味をもっているにしろ、彼らの育った家庭そして経験がひとりひとりを独特で、分類することの出来ないものにしているように感じさせられました。さまざまな背景を持ったこういった学生と共に生活できるという点でも、ホワイトハウスの私に対する意義は大きいのだと思います。去年一年この環境で生活したという経験と自信が、こういった新しい考えを自分に与えてくれ、またさらにいろいろなことに目を向けることを可能にしてくれるでしょう。

2) SCIENCE TRIP TO NORWICH

 夏休み明けの9月3日から8日にかけて、ロンドンから北西にあるノーリッチという町でBritishassociation for the advancement of scienceが主催するサイエンスフェスティバルが開かれ、ホイットギフトからも10人ほどの科学に興味のある最上級生が参加することを許されました。私たちはメイン会場だったイーストアングリア大学に滞在し、日々開かれた講義やフィールドワーク、ディスカッションに参加しました。講義のレベルは家族向けのものから研究者が自分の研究成果を発表するようなものまでさまざまでした。また、生命工学や純粋科学から考古学や科学哲学までほぼ考え付くあらゆる分野から研究者や講師が招かれ、自分たちの興味関心にしたがって、または興味、関心を発見するために個々人で出席する講義を選ぶことが出来ました。私にとってすべてが完全に理解できるものだったとはいえないにしろ、講師に招かれた人々の熱意や未知の分野に関する講義は、私を大いに鼓舞するところがありました。また、私を大いに驚かせたのは講義の後に必ず時間が設けられていた質問やディスカッションでした。聴衆は決して専門家ばかりというわけではなかったにもかかわらず、彼らから出されるたくさんの質問や提起されるディスカッションは舌を巻くものでした。とくに生命工学の講義で、Embryonic Stem Cellの研究に関しての倫理的な背景に関するオープンディスカッションでは、中学生ほどの学生から私の祖父母の世代の人々までが一定の自身の見解を持っていて、それを恥じることなく戦わせていたのにはただただ圧倒されるばかりでしたが、科学に対するさまざまな点を考えるという点で大いに刺激されるところがありました。

3)
SCIENCE SYMPOSIUM

 ノーリッチでのサイエンスフェスティバルに続いて、北ロンドンにある女子高とホイットギフトの提携で生徒たちによるシンポジウムが開かれました。まず同じ科目に興味のある生徒二人が二つの学校からペアーになり、ある分野について自分たちで調査をしてそれを発表するといったものでした。私は先のサイエンスフェスティバルでの講義からEScellの研究に興味を持ち、ペアになった学生と一緒にインターネット、文献、科学雑誌などから情報を集めて発表しました。単に科学的な面だけではなく、それを取り巻く社会や法、そして倫理についてあるいは自分たちの意見を含めながらプレゼンテーションを作っていくのは、自分の学校のカリキュラムから離れての自主的な調査を伴い、知識を自発的に得るだけでなく自分自身とても熱中できるものでした。
 

12:57
2006/08/01

No.8 2006/6~8

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1) 科学のグループプロジェクトについて
 私がホイットギフト校で学習しているインターナショナルバカロレアの科学系プログラムで一つ特徴的なことは、実験演習の一環として10時間(ホイットギフトでは二日と半日)をかけてグループごとに一つの課題のために、実験を計画して実行するというものです。優勝した班にはホイットギフトの科学科からのト ロフィーと景品が送られました。

 今年の課題はただ「時間を計りなさい」というものでした。
 担当の教官がながす音楽の長さを秒単位で計ることが目的とされ、自分たちが学習した科学のすべての知識を使うことが許されていました。あるものは、物理の分野で振り子を使ってみたり、また他のものは化学反応のスピードを利用したりと、本当にさまざまなアイディアを班内で出し合って実験にのぞみました。

 私の班では2つの実験を作りました。ひとつは単純に水の浸透のスピードを利用したもので、もうひとつはいわゆる「ヨウ素時計」というものでした。この実験は2つの同時に起きる反応を利用したもので、一つの反応ではでんぷん溶液と反応して紫色に変色するヨウ素を作り出す反応で、もう一つは逆にそのヨウ素と 反応してもとの状態に戻す反応です。始めの反応の反応速度は遅く、二つ目の反応は早いので、二つ目の反応が起こっている間は変色が起こりません。しかし、 二つ目の反応に必要な反応物質がなくなり反応が終わったとき、一気に溶液の色が紫色にかわります。その理論からすると、反応物質や触媒の量を調節すること でいくつか正確な時間を得ることが出来、それらから±5秒ほどで時間を計ることが出来るはずでした。
 結果は4分ほどを計るときに25秒も誤差を出してしまいました。なかなか理論だけではうまくいかないということを痛感したとともに、時計を作った人への尊敬の念が高まりました。他の班のアイディアを見物するのもまた勉強になるものでした。
 ある班では化学反応の平衡の変化に伴う色の変化を利用し、色変化の回数と時間のグラフを作ることでなかなか正確に時間を計っていました。また他にも気体の拡散のスピードを利用したり、タバコの発煙量から割り出したり、磁力を使っての実験車の速度を利用したりというものもありました。私が面白いと感じたの は、ひとりの班員にランニングマシーンを使って一定の速度で走らせ、5分ほど後からその脈拍を数えるというアイディアです。正確かどうかには疑問がありま すが、発想には驚かされました。

 前にも述べたように、いかに難しいかということを実感しただけでなく、発想や自分の知識を実際に応用したり、実験器具の使用法(自分としては溶液の濃度を変えたり、定量やでんぷん溶液を作ったりということは文字通り何百回と行いました。)などこのプロジェクトから得られることの大きさはものすごいもので はないでしょうか。何より少し自分が科学者のような気分に浸れたのには自分自身とても満足しています(結果はどうあれ)。

2) スペイン旅行について
 ホイットギフトでの言語教育の特徴として挙げられるのは、すべての学生へ向けて、学習している言語の国へと旅行を組織し、実際にその言葉を使う経験をさせるということではないかと思います。そのひとつの例として16以上の国への学習旅行が毎年組織され、また浦高を含めたたくさんの姉妹校を世界各国にも ち、定期的にそれらを訪問もしています。

 そういったプログラムの一環として、インターナショナルバカロレアでスペイン語を勉強している学生たちでスペインの首都、マドリードに4日間言語旅行として滞在してきました。まだスペイン語の勉強を始めて半年ほどだったので、食事の注文や値段を聞くくらいしか出来ませんでしたが、微弱ながらも自分のスペ イン語能力に発展があったように思います。これはやはり現地では状況が差し迫っているので、単語を簡単に覚えることが出来るのが一つだと思います。また、 今回の旅行で改めて実感したことは、自分自身が教室内で勉強しているとき、なにか地球上に存在しない未知の言語、むしろただのやらなければならない勉強の ように感じていたということです。誰かが実際にその言語で生活しているという明らかなことさえ頭にはなかったように思います。
 このスペインへの旅行はただのお楽しみではなく、生徒一人ひとりに実際の生きた経験を与えてくれたのだと思います。ホイットギフトが言語旅行に力を入れている理由が伺えるような気がしました。

 

3) イングランドのサッカー熱-2
 先日、サッカーのワールドカップがイタリアの優勝をもって閉幕しましたが、イングランドではやはりものすごい盛り上がりようでした。特に、イングランドのワールドカップ最後の試合であったポルトガル戦の盛り上がりはぬきんでていたように思います。しかし、私と何人かのホイットギフト生の友人はちょうどそ のとき上に書いたようにスペイン旅行の真最中でした。友人の学生たちもやはりイングランドの熱烈なサポーターで、その旅行にも試合用にイングランドのT- シャツやソックス、また挙句の果てには大きなイングランド国旗まで持ってきて、当日はスペインのパブの一角を占領して、他にもたくさんいたイングランドサ ポーターたちと国家の大合唱などで大応援をやっていました。
 面白かったのは、そのパブにはポルトガル人のサポーターたちもたくさんいたことです。試合中は選手に向けていろいろな言葉(?)が双方から発せられていましたが、いさかいもなく双方まじめに応援していたのでこちらとしては安心できました。

 結果としてイングランドが負けてしまったときは、彼らの大部分が意気消沈してしばらく無言になっていました。それでも「つぎの2010年は俺たちが勝つ」とかなんとか歌を作って歌っていたものもいたのには少しあきれ返ってしまいました。自分もそのパブには一緒についていって観戦だけはしていましたが、 隣にいたスペイン人の女性とイングランドの友人たちの熱狂振りを笑いつつ、つたないスペイン語に英語を混ぜてサッカーについて話すことが出来ました。こう いうところでワールドカップは世界中の人に一つの話題を提供してくれるのだなあと実感しました。

4)  ホイットギフトでの学年末試験について
 ホイットギフトで第三学期のハーフターム休暇(イギリスの学校でよくある、学期の半ばに設けられる1~2週間ほどの休暇)明けから1週間、インターナショナルバカロレアの生徒へ向けて学年末試験がありました。ホイットギフトには期末テストや中間テストのようなものはないので、一年に一度だけの大きな試 験となります。

 私は6科目の試験を受けましたが、一つの科目につきおよそ2つのテストがあり、一つのテストにつき90分から3時間半というような長さでした。
 問題の形式については科目ごとに異なっていましたが、数学に関して言えば出題形式は日本のものとほぼ一緒で、20個ほどのかるい問題を、解法を見せながら解くといったものでした。
 スペイン語の試験は3つのパートに分かれていて、文法、WritingそしてReadingからそれぞれ出題されました。ただ問題もすべてスペイン語で出されていたのでいくつか問題を理解できずに答えなければいけないという ようなものもありました。単語の不足が明らかになった試験でした。
 文学のテスト(幸いにも日本語で受けることができ、シェイクスピアやチョーサーの古い英語から免れることが出来ました)の形式も面白いもので、90分のうちにいくつか与えられたエッセーなり小説なりの中から一つの作品を選んでそれについて解説文を自分で作成するというものでした。いくつか日本の問題のよ うに設問も用意されているのですが、それは必ず答えなくてはいけないというものではなく、解説文を書く上で役立つ点を示してくれるものでした。
 他の三教科である、化学、生物、経済の出題形式は似通ったもので、マーク式の問題が生物や化学で少し出題されたものの、ほとんどがエッセーを書かせるといったものでした。例を挙げると化学で「第二周期に属する元素の第一イオン化エネルギーの傾向について述べよ」や、生物で「ミトコンドリアと葉緑体の構造 の類似点と相違点についてその細胞内での役割という観点から述べよ」といったようなものでした。

 しかし自分が一番楽しんだ問題は経済で出題された、日本の経済状態とその対策について書かせるエッセーでした。過去2005年までのさまざまなデータが与えられて、そこから日本の経済が陥った状況とそこへどんな対策案が考えられるかについての問題でした。自分は実際に小泉内閣がしたり、しようとしたりし たことやそれに対する反発などもニュースで知っていたのでそれについてなかなかうまく書くことが出来ました。ニュースを少し知っていただけで問題を有利に 解くことが出来、いい結果が得られたのに少し驚きながらも新聞かインターネットでトップニュースくらいは真剣にチェックしようとおくればせながら決心しま した。
12:56
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